ホオジロハクセキレイ。諸悪の根源はモンハンだった!?亜種の秘密を暴露!

チチクラゲ
ナマステ!日本野鳥の会で徳島県支部長を務めていた、チチクラゲと申します。

今回はホオジロハクセキレイについてです。

大人気ゲーム「モンスターハンター」で勘違いされがちな「亜種」の意味について語ってみたり、ハクセキレイの尾羽おばねを動かす理由についても考察したので、良かったら読んでみて下さい。

ホオジロハクセキレイとは

ホオジロハクセキレイ・松茂町中喜来
亜種ホオジロハクセキレイ・松茂町中喜来。2014.6.11。撮影チチクラゲ。

 

ホオジロハクセキレイ(セキレイ科)Motacilla alba leucopsis はスズメとほぼ同じ体重です。

尾羽が長いため全長21cmとスズメより長い小鳥です。

 

ハクセキレイの亜種について

種名のハクセキレイMotacilla alba は、基亜種を含めて、いくつもの亜種に分かれます。

日本鳥学会 2012日本鳥類目録 改訂第7版では、ハクセキレイには、7つの亜種が記載されています。その中にはホオジロハクセキレイも含まれています。

亜種について

日本で普通にみられるハクセキレイはMotacilla alba lugensという亜種ハクセキレイです。

種ハクセキレイと、亜種のハクセキレイは同じ名前なのですが、同じ鳥という訳ではありません。

よく勘違いされますが、実は、種ハクセキレイには実体がありません種ハクセキレイの亜種たちをひとまとめにした呼び名が、種ハクセキレイなのです。

このような、種と亜種の関係について、いまいちピンと来ない方たちは、もしかしたら人気ゲーム「モンスターハンター」に影響されているからかもしれません。

モンスターハンター。様々なモンスターを狩猟していくゲーム。
モンスターハンター。様々なモンスターを狩猟していくゲーム。

モンスターハンターでの亜種の表記のされ方や定義が、現実世界とは多少異なっているのです

例えば、モンスターハンターでは、リオレウスとリオレウス亜種がそれぞれ実在しますが、生物学上の定義としてはおかしいと考えられます。
リオレウスの亜種が登録された時点で、元のリオレウスも亜種になり、新たに発見されたリオレウス亜種と同等の関係性になります。
種リオレウスは、その2つの亜種を含んでいることになります。
リオレウス亜種。蒼い色が特徴。
リオレウス亜種。蒼い色が特徴。
よく見られるリオレウス。赤い色が特徴。リオレウスの亜種が登録された時点で、こちらも亜種扱いとなるのが普通。

 

鳥類の亜種を何かに例えるのは難しいのですが、人間の家族の兄弟に例えて説明してみます。

例えば、初めに「大谷」さんという人がいるとします。

その人を大谷さんと呼んでいたのですが、その後、大谷さんには兄弟がいることが分かってきました。

すると、大谷だけでは、誰のことか分からなくなりました。

そこで、最初の人を基亜種きあしゅとして「大谷・大谷」と名付け、後に見つかった兄弟たちは亜種として、それぞれ容姿の特徴等をとらえて、次々と「大谷・太郎」とか「大谷・花子」などと亜種名をつけていくことになります。

  • 「大谷・大谷」の場合、種名が「大谷」、亜種名が「大谷」となり、ひとことで「大谷」と言った場合、どちらのことを指しているのか紛らわしいです。そのため、亜種を指す場合は、「亜種大谷」とするのが一般的です。
  • 「大谷・太郎」の場合、種名が「大谷」、亜種名が「太郎」となります。亜種を指す場合、こちらも亜種を頭につけて「亜種太郎」とすることがあります。「太郎」だけでは、「太郎」という種がいると勘違いされやすいからです。ということで、亜種の場合はとにかく頭に「亜種」をつけるのが無難となります。

基亜種

タイリクハクセキレイMotacilla alba alba が基亜種です。

複数いる亜種の中で、最初に(世界で一番先に)登録された亜種が、基亜種と呼ばれます。

 

日本でも増えだしたホオジロハクセキレイ

ホオジロハクセキレイ・松茂町中喜来
亜種ホオジロハクセキレイ・松茂町中喜来。撮影チチクラゲ。

 

亜種ハクセキレイ以外は、主に大陸に分布しており、ハクセキレイは日本では数少ない渡り鳥または迷鳥とされています。

ハクセキレイの亜種の中でも、亜種ハクセキレイの次によく観察されるのが、亜種ホオジロハクセキレイ(頬白白鶺鴒)です。

日本では数少ない旅鳥または冬鳥とされています。

しかし、九州と本州西部では1968年以降に少数が繁殖するようになりました。

近年繁殖域が拡大する傾向にあり、徳島県内でも繁殖確認される日が近いかもしれません。

 

ハクセキレイが尾羽を振る理由

亜種ホオジロハクセキレイに限らず、ハクセキレイの仲間たちは、尾羽を上下に振る姿が特徴的です。

ホオジロハクセキレイ

 

しかし、尾羽を振る理由ははっきりと分かっていないようです。

チチクラゲ
ということでチチクラゲが考察します。

~考察~

ハクセキレイは小さな鳥であり、常に捕食者(タカなどの猛禽類)に命を狙われています。タカなどに胴体を掴まれると致命傷になります。そのため、長い尾羽をピコピコと動かして捕食者の注意を引きつけ、尾羽に攻撃の矛先を向けさせます。また、セキレイ類は、外側尾羽そとがわおばね(尾羽の外側の羽)が白く、これもよく目立ちます。

尾羽を掴まれても、尾羽がむしり取られるだけで、ハクセキレイ本体に大きなケガはありません。
たまに尾羽がないハクセキレイを見かけますが、捕食者から上手く逃げのびた後の姿なのかもしれません。

 

過眼線

亜種ハクセキレイと亜種ホオジロハクセキレイの識別ポイントは、顔の過眼線かがんせん(嘴の基部から目を通って後方へ走る黒い線)にあります。

過眼線が見えれば亜種ハクセキレイ、見えなければ亜種ホオジロハクセキレイの可能性が強まります。

ホオジロハクセキレイの過眼線
亜種ハクセキレイの過眼線。撮影チチクラゲ。
亜種ハクセキレイの過眼線
亜種ハクセキレイの過眼線。撮影チチクラゲ。

 

しかし、両者の中間的な個体も見られます。

これについては、亜種ハクセキレイと亜種ホオジロハクセキレイの個体変異であるのか、両亜種の雑亜種である可能性もあると考えられます。

ホオジロハクセキレイとハクセキレイの雑亜種?
亜種ホオジロハクセキレイと亜種ハクセキレイの雑亜種?(過眼線の痕跡らしきものが見て取れる)・徳島県松茂町中喜来。2014.6.11。撮影チチクラゲ。

 

ホオジロハクセキレイの名前について

そこで気になるのが不可解な和名です。

亜種ハクセキレイの頬も明らかに白色です。両亜種ともに頬の色は白です

それにもかかわらず亜種ホオジロハクセキレイだけ取り立てて「頬白」と命名したのは納得できかねます。

亜種ホオジロハクセキレイは頬を含めて顔全体が白です。

顔全体が白いホオジロハクセキレイ
頬だけでなく、顔全体が白い亜種ホオジロハクセキレイ。撮影チチクラゲ。
ホオジロハクセキレイの過眼線
亜種ハクセキレイ。過眼線があるため、頬だけ白い。撮影チチクラゲ。

 

そこで「カオジロハクセキレイ」とでも改名すべきであると私は考えています。

当亜種の種小名leucopsisもギリシャ語で「白い顔の」という意味です。

 

まとめ

ホオジロハクセキレイについてのまとめです。

  1. ハクセキレイには亜種がたくさんいる。ホオジロハクセキレイも亜種である。
  2. ハクセキレイは捕食者に襲われても致命傷を避けるため、あえて尾羽を振って、そこを攻撃させようとしているのではないだろうか?
  3. 亜種ハクセキレイと亜種ホオジロハクセキレイを見分けるポイントは過眼線。雑亜種など、過眼線があいまいな場合もある。
  4. 亜種ハクセキレイも亜種ホオジロハクセキレイも頬は白い。ホオジロハクセキレイは顔まで白い。そのため、カオジロハクセキレイと改名してみればどうか?

次回は、セグロセキレイです。

チチクラゲ
お楽しみに!ナマステ。