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今回はカルガモ(軽鴨)についてです。
カルガモの親がヒナを連れて歩く姿はとても愛くるしい光景ですよね。
しかし、観察を続けるうちに、見る見るうちにヒナの数が減っていってしまいます。
その悲しい現実がなぜ起こるのか?
カルガモ家族に潜入捜査を試みましたので是非ご覧ください。
また、カルガモ(軽鴨)は軽くも無いのに、なぜ軽鴨なのか?
カルガモの名前について新説を書いていきます。
カルガモについて
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カルガモ(カモ科)Anas zonorhynchaは全長61㎝で、全国の河川、湖沼、水田などに留鳥として棲みます。
カルガモは全国で見られる最もポピュラーなカモの一種です。春になると、川岸の草むらや田んぼの岸に巣を作ります。時に、水辺からかなり離れた山林に巣をつくることもあります。
カルガモのヒナ

カルガモは子沢山で、10~13個もの卵を産みます。卵は27日前後で孵化します。そのヒナたちをメス親が水辺に連れて出て、エサの採り方を教えます。
移動する時は、メス親の後に尻尾のように、ヒナたちがずらりと並んで付いていきます。
その姿は大変愛らしいのですが、日がたつにつれ、ヒナの数が一羽二羽と減っていきます。
そして三か月ほどするとヒナは親鳥とほぼ同じ大きさになりますが、この時には既にヒナの数が3~5羽にまで減っています。
※閲覧注意!!カルガモの天敵
ヒナの数が減ってしまうのは、イタチやヘビなど天敵に食べられてしまうからです。
ヘビが苦手な方はこのページから離れてください!
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メス親はヒナを守るために孤軍奮闘するのですが・・・力及ばず、天敵の餌食になってしまうことがよくあります。
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イタチやヘビたちも地球上で生きる権利があるとすれば、彼らのエサであるカルガモのヒナを食べることで、彼ら自身の子供を育てなければならないのです。
黒くないのにクロガモ?タグロ?
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カルガモは江戸時代から “かるがも” “なつがも” などの名で知られていました(注)。
これとは別に各地方でクロガモ、タグロなどと方言名で呼ばれていました。徳島県でも古老はカルガモをタグロと呼んでいました。
「クロ」が付くのはカルガモの体色が黒ずんでいるからのようですが、私には他のカモよりカルガモが特段黒く見えるとは思えないので、どうも釈然としません。
(注) 菅原 浩・柿澤亮三 (1993) 『図説日本鳥名由来辞典』(柏書房)
軽くないのに「軽鴨」?
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さらに不可解なのは、カルガモという和名の由来です。
カルガモを漢字で「軽鴨」、すなわち軽い鴨と書きます。
ところがカルガモの体重は900~1,350gもあり、全長も60cmを超えてマガモの約59cmをしのぎます。
マガモ属(日本産11種)の中では最大級です。
このように決して軽い鴨とは言えないのになぜ「軽鴨」と命名されたのでしょうか。不思議です。
チチクラゲの新説!カルガモの名前の由来
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その理由は、次の通りです。
- カルガモの体色は一見すると雁(カリ)の体色によく似ています。特にヒシクイはくちばしの先に黄色斑があり、カルガモのそれに符合します。
- 鴨の仲間では、たいてい雌雄の体色が異なります。ところが、カルガモだけは雌雄がほぼ同色です。雁の仲間もカルガモに似てどれも雌雄がほぼ同色です。
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これらの共通点から、カルガモを雁に似た鴨という意味を込めてカリガモと呼び、これが訛ってカルガモと呼ばれるようになったと考えられます。
まとめ
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カルガモについてのまとめです。
- 卵を10-13個産むけど、生き残るのは3-5羽程度。
- ほとんどはヘビやイタチなどの天敵に食べられちゃう。ヘビにも生きる権利があるので仕方なし。
- カルガモは軽く無い。雁に似てる所が多いので、元々の名前は「雁鴨」だったのではないか?
次回はノスリです。
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