今回はカモメです。
カモメが船の後ろについてくる真相や、名前の秘密、ウミネコの鳴き声は猫と同じかどうかなど、語っていきますので、よかったら読んでみて下さい。
カモメとは
カモメ(カモメ科)Larus canusは、全長45㎝でハシボソガラスより一回り小さい水鳥です。
冬鳥として全国の海岸や河口に渡来します。
セグロカモメやウミネコ、ユリカモメなどに混じり、浜で休む姿がよく観られます。
西日本でよくみられるカモメの仲間は、カモメ科のカモメを含めて約10種類です。
なぜカモメは船の後ろをついてくる?
船の後ろからカモメが群れになって付いてくることが良くあります。
どうしてでしょう?
これは、船から海に投棄される残飯などを狙っているのです。
船は残飯を海に垂れ流すことがあります。
カモメの仲間には、雑食性の種もいくつかいるので、水面近くの魚を捕食する以外にも、人が食べ残したパンくずや野菜・肉などを食べるのです。
フェリーについてくるカモメたちの動画
ウミネコの鳴き声は、猫と同じ?
カモメ類のほとんどは冬鳥なので、夏季には見ることが出来ません。
ただし、ウミネコだけは、西日本でも局地的に島しょで繁殖しているので一年を通じて見ることが出来ます。
ですから、夏にカモメ類を見かけたら、ウミネコを疑ってみてください。
ウミネコの鳴き声は、「ミャー」です。猫の鳴き声に似ていますよね。
そうです、ウミネコの名前は、この鳴き声に由来します。
ウミネコの鳴き声の動画
ちなみに、カモメ類の幼鳥は褐色のものが多いです。中でも、ウミネコは特に暗色味が強く濃褐色に見えます。
カモメの名前の由来
カモメ類は奈良時代に “かもめ” また “かまめ” の名で知られていました(注1)。
カモメの語源には定説がありませんが、次の3説がよく知られています。
- 鴨女説:この鳥が小さなカモに似ているから「鴨女=カモメ」であるという説(注2)。
- 籠目説:カモメの幼鳥・若鳥が籠目(かごめ)模様に見えるからという説(注3)。
- やかましい説:鳴き声が「かましい=やかましい」ことからカモメになったとする説(注4)。
理由は以下のとおりです。
- 鴨女説:カモメを観察して、小さなカモに見立てる人は少ないように思えます。
- 籠目説:幼鳥・若鳥のうち、籠目状の斑紋を持つ個体は群れ全体から見れば極少数です。これをもってカモメの語源とするには無理があるように思えます。
- やかましい説:餌場に集まったカモメ類は大きな声を発しますが、これがカモメの語源になる程やかましいとは思えません。
「め」は群れる鳥を表す接尾語です。
即ち、「浜で最もよく見られる群れ鳥」という意味です。
古代日本語の発音では、「は行」を「ファ行」のように発声していたといわれます。
従って「はまめ」を「ファマメ」と発音し、後に「かもめ」に転訛したものであろうと私は考えています。
また、「母」を「カカ」とも呼ぶことからも「ファマメ」は「カマメ」→「カモメ」となります。
『かかあ(かか)』の解説
かかあ(かか)は古代、蛇の意味で使われていた『かか』が時代とともに転意していき、庶民の間で母や妻という意味で使われた。ちなみに母(はは)も同じ語源である。古代、K音とH音の発音が曖昧であったために『かか』と『はは』の2種類が定着したとされる。
かかは漢字で「嬶・嚊」と書く。ただし、現代ではかかあと崩れた形では使われるが、かかそのものはほとんど使用されず、時代劇の中の「かか様」に見られる程度である。 また、かかの丁寧語『おかか』が崩れた『おっかあ』は現代でも使用される。
引用:日本語俗語辞書 http://zokugo-dict.com/06ka/kakaa.htm
(注1)菅原 浩・柿澤亮三 (1993) 『図説日本鳥名由来辞典』(柏書房)
(注2)大槻文彦(1889)『言海』:鴨女ノ義ニテ、小キ鴨ノ意カト云
(注3,4)安部直哉(2008)『山渓名前図鑑・野鳥の名前』:「幼鳥の羽衣が『籠の目』模様なのが語源。喧しく(カマ)群れ(メ)で鳴くのが語源という説もある」
まとめ
カモメについてのまとめです。
- カモメが船の後ろをついてくるのは、船が垂れ流す残飯を狙っているから。
- ウミネコの鳴き声は猫に似ている。
- カモメの名前の由来は諸説ある。鴨女説、籠目説、やかましい説など。
- チチクラゲが唱える名前の由来は、「浜め」説。「浜で最もよく見られる群れ鳥」という意味。
次回はセグロカモメです。