今回は「野鳥の秘密を暴露」シリーズの記念すべき第1回目となります。気合を入れて野鳥のあれやこれやを暴露していきたいと思います。
今日のお話は「アオサギ」についてです。
アオサギ(青鷺)と聞いてイメージするのは、青い色をしたサギだと思います。しかし、上にあるアオサギの写真を見てもらっても分かる通り、それほど青くありません。
みなさんはどうしてアオサギという名前になったと思いますか?
以下では、アオサギの名前の由来を考察しつつ、アオサギの特徴や人間との関わり等について述べていきます。
アオサギについて
アオサギ(サギ科)Ardea cinerea は全長93㎝で、北海道で夏鳥のほかは全国に留鳥または漂鳥として、海岸や河川、沼、水田などに棲みます。
アオサギは一昔前まで、場所によってはかなり珍しい鳥でした。
アオサギと鶴は大きさや体形、生息場所がよく似ており、羽色も比較的よく似ています。当時、アオサギの数が非常に少なかったために、今までにこの鳥を観たことがない人が、てっきり鶴だと思ったようです。
今はたくさん増えて、アオサギは各地で普通にいます。
アオサギは青くない
なぜなら日本のアオサギは青鷺と呼ばれるほど青くないからです。
上面にやや青みを帯びる個体もありますが、どう見ても灰色鷺です。
因みにアオサギの学名種小名cinereaは「灰色の」という意味です。英名でもGrey Heronです。(ただ、新大陸にはGreat blue Heronとよばれるアオサギの仲間がいます。こちらはその名のとおり上面が青く見えます。)
アオサギの語源
『図説日本鳥名由来辞典』(注1)によると、
アオサギは奈良時代には「みとさぎ」と呼ばれており、平安時代には “みとさぎ” と “あをさぎ” の両方の名が用いられてきた
とあります。
理由は、アオサギは日本で繁殖する鷺類中最大だからです。ツルと見間違えられるほどですから「大鷺」と呼ばれても何ら不思議はないと思います。
昔人たちは単に「大鷺」と呼んだのでは趣がないと考え、少しだけ青みがあるように見える背を見て「あおさぎ」と名付けたものと考えられます。因みに『日本鳥類大図鑑』(注2)には奈良県の方言名として「おほさぎ」という名も記されています。
(注1) 菅原 浩・柿澤亮三 (1993) 『図説日本鳥名由来辞典』(柏書)
(注2)清棲幸保(1965)『日本鳥類大図鑑』(講談社)
アオサギのくちばし
まず、年齢によるものでは、巣立ちした年の幼鳥は全体に灰色味が強く、なんとなくぼやけた感じです。しかし、数年を経た成鳥は、めりはりが効いてすっきりした、ある意味精悍な印象の鳥に変身します。
アオサギと人間
アオサギの繁殖は一番いだけで巣作りすることもありますが、通常は木や竹藪の上にコロニーを形成して集団で子育てします。コロニーにはシラサギ類やゴイサギなどが同居することも、よくあります。
大きなコロニーになると鳴き声による騒音が問題となります。特に夜行性であるゴイサギが同居していると、昼夜を問わず騒音が発生します。
アオサギと徳島
かつては牟岐町大島が四国唯一のアオサギ集団繁殖地であるとして、1975年8月徳島県の天然記念物に指定されました。昨今は羽数が増えて海岸から山地の渓流に至るまで、普通に見られるようになりました。
まとめ
アオサギについてのまとめです。
- アオサギはそんなに青くない。
- 日本の鷺類の中で最大。「大鷺」が元々の語源ではないか?
- クチバシの色とかが結構変わって驚かされる。
- 鳴き声が結構うるさい、糞も結構迷惑。自治体に駆除されちゃうこともある。
次回はミヤマガラスです。