今回はスズメです。
よく目にする機会のある身近にいる可愛らしい小鳥です。
そんなスズメの移動方法や名前の由来等について解説しましたので、良かったら読んでみて下さい!
スズメについて
スズメ(スズメ科)Passer domesticus は、留鳥として全国に分布しており、最も身近な野鳥の一つです。
全長は14.5cmです。
スズメは歩かない
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スズメは歩けません。
いつも見慣れているスズメですが、スズメが庭を歩いているのを見たことがあるでしょうか。
実は、スズメは哺乳類のように左右の足を交互に送って歩くことができないのです。
ではどうするのかと言いますと、両足を揃えたままでピョンピョンとジャンプしながら前に進むのです。
では、小鳥はみなスズメのようにジャンプして進むのかというと、そうではなくて、例えば、ヒバリ類やムクドリ類、ハト類などは左右の足を交互に送って上手に歩きますし、セキレイ類などはかなりの速度で走ることさえできます。
小鳥の中でも、主に木の枝に止まって木の実や昆虫を食べる鳥の多くは、地上に降りるとスズメのようなジャンプ式移動法を採用しています。
ただ、スズメにかぎっては木の上より地上で餌をとることが多いようなので、歩けた方が便利であると私は思うのですが、これだけはスズメにたずねてみないとわかりません。
ヨーロッパのスズメ
ヨーロッパでは日本のスズメより一まわり大きい別種のイエスズメがいて、公園などで人の手から餌をもらっている光景をよく目にします。
イエスズメは人家に瓦の隙間などで子育てするので「House Sparrow」と呼んでいます。
一方、スズメ(日本のスズメと同種)もいるのですが、街中にはあまり棲んでいません。
むしろ郊外の農場や林などに棲んで、木の洞穴などで子育てします。このため「Tree Sparrow」と呼ばれています。
スズメの名前の由来
スズメは奈良時代から「すずめ」または「すずみ」と呼ばれていました。
その語源についての定説はありませんが、以下の二説がよく知られています。
- 「チュンチュン」と鳴く声を「スズ」と聞きなし、「メ」を後に付けたとする説。
- 小さい物を意味する「ささ」が「すす」に転訛してスズメになったという新井白石の説。
チチクラゲの新説!スズメの名前の由来
私はスズメの語源が「すす:煤」にあると考えています。
かつて日本の家には、かまどや囲炉裏がありました。
そこから出た煙は屋根裏に満ちてから、屋根の隙間を抜けて徐々に外へ出ます。こうして古人は煙で建材をいぶすことで、家の防腐効果を高めていたようです。
その結果、スズメが巣をつくり、また、冬ねぐらとする屋根や軒の隙間は、常にすすで黒くなっていました。
隙間を通る際、羽毛にすすが付着した小鳥を見て、古人は「すすめ」と名付け、後に発音しやすく「すずめ」と呼ばれるようになったと、私は考えています。
「め」はツバメやカモメなどのように、群れる鳥によく付けられる接尾語です。
最近はガス調理器やIH電磁調理器の普及により、家からすすが出ることはほとんどなくなりましたが、数十年前までは写真のような「すすけたスズメ」を見かけることが時々ありました。
昨今でも、よく注意していると「ススメ=煤メ」に出会うことができるかもしれません。
志摩芳次郎(1908~1989)の俳句に「七日はや 煤(すす)によごれし 軒雀」があります。
まとめ
スズメについてのまとめです。
- 全長14.5cmで、留鳥として全国に分布しており、最も身近な野鳥の一つ。
- スズメは地上では歩かず、ジャンプして移動する。他の小鳥は歩いたり走ったりできる種もいる。
- スズメの名前の由来:諸説あり。①「チュンチュン」と鳴く声を「スズ」と聞きなし、「メ」を後に付けたとする説。②小さい物を意味する「ささ」が「すす」に転訛してスズメになったという新井白石の説。
- チチクラゲが唱える名前の由来の新説:スズメの語源は「すす:煤」からきている。スズメが巣をつくったり、冬ねぐらとする屋根や軒の隙間は、昔は常に煤で黒くなっており、スズメに煤がよく付着していたことから。「め」は群れる鳥によく付けられる接尾語。
次回はニュウナイスズメです。