今回は2023年4月6日に実装された、「repeat機能」について解説していきます。
repeat機能は、単純な機能ですが使い方によっては素晴らしい効果を得られると思います。
以下では、repeat機能の使い方と、カオス値とスタイライズ値を組み合わせた有効な活用方法について解説していきます。
repeat機能の使い方
repeat(リピート)機能はパラメーターの一種です。
「--repeat 数字」と入力すれば、数字の分だけ同じプロンプトを実行してくれます。
具体例
上記の様に、プロンプトの最後に「--repeat 5」などと入力します。
「--repeat」の後の数字が5なので、5回同じプロンプトが実行されます。
repeat機能を使用すると、「Yes」か「No」か問われます。
「Yes」を押すと実行され、「No」を押すとキャンセルされます。
今回は「Yes」を押してみます。
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --repeat 5 --ar 16:9 --v 5」
生成コマンドの和訳としては「クラゲ帽子を被ったハンサムな少年。高品質な漫画」です。
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --repeat 5 --ar 16:9 --v 5」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --repeat 5 --ar 16:9 --v 5」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --repeat 5 --ar 16:9 --v 5」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --repeat 5 --ar 16:9 --v 5」
以上の様に、5つのジョブが生成されます。
それぞれ同じプロンプトですが、seed値が違うため、生成画像も同じものがありません。
理想的な画像を作るには、同じプロンプトで何度も再生成する必要があります。
repeat機能を使うことにより、コピペやリロールを何度も実行する手間が省ける為、便利な機能といえます。
ProプランとStandardプラン、Basicプランの違い
Proプラン
月額60ドル(年額576ドル)で加入できるProプランに加入している場合、repeat機能のジョブを40個始動可能です。
Standardプラン
月額30ドル(年額288ドル)で加入できるStandardプランに加入している場合は、repeat機能で出力できるジョブが10個までとなります。
10を超える回数をリピートさせようとすると、断られます。
Basicプラン
月額10ドル(年額96ドル)で加入できるBasicプランに加入している場合は、repeat機能で出力できるジョブが4個までとなります。
Standardプラン、Basicプランでは使用できなくなる可能性もある
また、本来はrepeat機能はProプランのみの機能です。
現在Standardプラン、Basicプランでもrepeat機能を使用できますが、サーバーにかかる負荷状況等によってはProプランのみに制限される可能性があります。
Fastモード限定
Proプラン、Standardプランともに、repeat機能を使用するには「fastモード」でなければなりません。
「relaxモード」では使用できない機能となっていますので、「fastモード」の残量にはご注意ください。
カオス値を使ってリピートする
repeat機能の有効な活用方法のひとつにカオス値(--c 数字)を調整する方法があります。
カオス値は「0-100」までの値を取り、数値が高いほど「異常で予想外の結果と構成」になりやすいです。
デフォルトのカオス値は「0」です。
カオス値を上げることで、予想以上に良い画像が出てくる可能性もあります。
カオス値100でリピートする
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --ar 16:9 --v 5」
上の画像はデフォルトのカオス値(--c 0)で作成しています。
上のプロンプトを使って、カオス値の最大値である「--c 100」でrepeatしてみます。
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 100 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 100 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 100 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 100 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
以上、4つのジョブをカオス値100で生成しました。
様々なタイプの画風や構図が生成されていますが、クオリティの低い画像も多い印象です。
アタリを引くまでリピートし続けるのも良いかもしれませんが、効率的ではありませんし、fast残量も心配です。
カオス値10でリピートする
次はカオス値を10まで下げてリピートしてみます。
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
元画像と比べるとかなり変わった構図を取りつつも、ある程度は質の高い生成画像もあります。
カオス値4〜10の間ぐらいでリピートをすると、芸術性が高まりつつ、品質もなんとかキープできている画像が多くなります。
しかし、画像の質の低下がないかと言えばそうではありません。
カオス値を使うと、気の抜けたような、描き込みが少ないような低品質な画像になりがちです。
それを改善するために、スタイライズ値を使用します。
スタイライズ値×カオス値が有効
ミッドジャーニー(Midjourney)は「色・形・構図を芸術的に生成する様にトレーニング」されています。
ミッドジャーニー(Midjourney)が持つそのような芸術性を「スタイライズ(Stylize)」と言います。
スタイラズはパラメーターであり、「--s 数字」で表されます。
スタイライズ値の範囲は、V5では「0-1000」となっており、デフォルトは「100」です。
スタイライズ値が高ければ高いほど、芸術性が高まります。
スタイライズ値「0」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --s 0 --seed 2269684806 --ar 16:9 --v 5」
上の画像はスタイライズ値0(--s 0)で作成しています。
スタイライズ値を最小にしているため、ミッドジャーニー(Midjourney)の芸術性が著しく損なわれています。
プロンプトに忠実であると共に、描き込みが少なくなる印象です。
スタイライズ値「1000」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --s 1000 --seed 2269684806 --ar 16:9 --v 5」
上の画像はスタイラズ値(--s 1000)で作成しています。
seed値はスタイライズ値0の画像と同じにしています。
2種類の画像を見比べると、スタイライズ値1000の方が、スタイライズ値0の画像よりも見栄えが良いと思います。
基本的にスタイライズ値を高くする方が品質が上がる傾向にあります。
カオスで下がった品質をスタイラズで改善する
ここで、前述したカオス値の話に戻ります。
カオス値を上げると、品質が低下することが多いです。
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --ar 16:9 --v 5」
上の画像はカオス値「0」のデフォルトの画像です。
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
上の画像はカオス値を少し高めの「10」にしています。
個性的なキャラクターや構図が出現している一方で、質自体は低下していると思います。
独創的な芸術性を維持したまま、質を向上させるためには、スタイライズ値を上げると有効です。
スタイライズ「100(デフォルト)」、カオス「100」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --s 100 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
さきほど紹介した画像と同じです。
スタイライズ値「100」、カオス値「10」となっています。
以下では全て同じseed値とカオス値を使用して、スタイライズ値のみを上げて画像を生成しています。
スタイライズ「110」、カオス「10」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --s 110 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
スタイライズ値「110」です。
デフォルトからスタイライズ値を10上げると、少しだけ質の上がった画像も見られます(右上)。
一方で、スタイライズ値を上げると元の画像が、全く別系統の画像に差し替えられることもあります(原因は不明)。
今回だと、右下の画像が差し替えられています。
スタイライズ「130」、カオス「10」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --s 130 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
スタイライズ値「130」です。
大きな質の向上は見られませんが、またもや右下の画像が差し替えられています。
スタイライズ「150」、カオス「10」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --s 150 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
スタイライズ値「150」です。
全体的に質が向上しています。キャラクターの向きも少し変化しています。
差し替えられ続けていた右下の画像が戻ってきて、左上の画像が差し替えられています。
スタイライズ「200」、カオス「10」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --s 200 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
スタイライズ値「200」です。
スタイライズ「250」、カオス「10」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --s 250 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
スタイライズ値「250」です。
なかなか良い感じで質が上がってきています。
スタイライズ「300」、カオス「10」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --s 300 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
スタイライズ値「300」です。
右下の画像がまた差し替えられました。
スタイライズ値が「300」になると、デフォルトのスタイライズ値から2枚の画像が差し替えられています。
スタイライズ「500」、カオス「10」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --s 500 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
スタイライズ値「500」です。
かなり質が向上しています。
スタイライズ「600」、カオス「10」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --s 600 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
スタイライズ値「600」です。
質は高いですが、デフォルトの画像から3枚が差し替えられています。
スタイライズ「1000」、カオス「10」
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 10 --s 1000 --seed 2021436103 --ar 16:9 --v 5」
スタイライズ値は最大の「1000」です。
やはり、デフォルトの画像から3枚が差し替えられたままです。
以上の実験より、スタイライズ値を少しでも上げると、元画像から1枚差し替えられることがあります。
スタイライズ値が300を超えると元画像から2枚差し替えられることがあり、スタイライズ値が600を超えると3枚が差し替えられています。
一方で、カオス値を上げることで低下した質は、スタイライズ値を上げることで改善していると感じます。
カオス値を上げすぎると?
カオス値を上げて質が低下してもスタイライズ値で改善できます。
しかし、カオス値を上げすぎると問題が発生します。
カオス「20」、スタイライズ「1000」の場合
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 20 --s 1000 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
カオス値「20」、スタイライズ値「1000」です。
若干の質の低下がありますが、画風として許容範囲内という印象です。
カオス「30」、スタイライズ「1000」の場合
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 30 --s 1000 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
カオス値「30」、スタイライズ値「1000」です。
左上の画像など、質の低下が見られます。
カオス「40」、スタイライズ「1000」の場合
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 40 --s 1000 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
カオス値「40」、スタイライズ値「1000」です。
描き込みが少ない画像が増えてきています。
カオス「50」、スタイライズ「1000」の場合
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 50 --s 1000 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
カオス値「50」、スタイライズ値「1000」です。
カオス「100」、スタイライズ「1000」の場合
生成コマンド「Nice looking boy wearing a jellyfish hat. Hyper quality manga. --c 100 --s 1000 --repeat 4 --ar 16:9 --v 5」
カオス値「100」、スタイライズ値「1000」です。
絵がかなり荒れています。
カオス値が高すぎると、いくらスタイライズ値を高くしても質が低下します。
カオス値は「20」程度までに収めるほうが良いかもしれません。
まとめ
repeat(リピート)機能についての解説というより、カオス値とスタイライズ値についての実験になりました。
今回の記事を簡単にまとめると、以下の様になります。
- カオス値(--c)を4-20程度の範囲で上げる。
- repeat機能を使って、芸術性に富んだお好みの画像が出るまでトライ。
- カオス値を上げているので、質の低い画像になることは考慮しておく。
- お好みの画像が出たら同じプロンプト(seed値とカオス値を含む)でスタイラズ値(--s)を上げていく。
- スタイライズ値を上げると、質が改善していく。
- 一方で、スタイライズ値を上げることで、画像が差し替えられることがあるので注意。
以上は、あくまで私の実験の結果であり、私独自の感想です。
他のプロンプトや他のバージョンおよびタイミングによって結果が変わる可能性もあります。ご了承ください。